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あすなろ日記

あすなろ日記

ハイキュー小説『大王様の憂鬱』


     ハイキュー「大王様の憂鬱」



揺れる木洩れ日の木の下に人影を見た瞬間、影山の胸の鼓動は高鳴った。

「及川さん。」

影山が声に出して、想い人の名を呼ぶと、及川が影山に気付いて振り向き、

微笑んだ。

「飛雄ちゃん。」

懐かしい響きだった。

練習試合の後、学校の裏庭に来るよう及川に言われて、影山は及川と

逢引きする為に青葉城西に一人残って、約束の場所を訪れたのだった。

「この桜の木は入学式の季節になると、満開に咲いて綺麗なんだよ。

飛雄ちゃんにも見せたかったな。どうして、青葉城西に入らなかったの?」

爽やかな笑顔で聞いてくる及川に影山は答えられなくて俯いてしまった。

「・・・」

「まぁ、いいさ。こうして、来てくれたんだものね。俺の可愛い飛雄ちゃん。」

及川はそういうと、影山の顎に手をかけ、上を向かせて、キスをした。

及川の柔らかい唇が影山の唇に触れ、思わず漏らした吐息の隙間に及川は

舌を入れて絡ませ、影山を優しく包み込んだ。甘いキスにうっとりとした影山に

「相変わらず、感度良いね。飛雄ちゃん。ここでしようか?」

と及川はにっこりと笑って言った。

「えっ?何言ってるんですか。やめてください。」

顔を赤らめて、逃げようとする影山の腰に及川は手をまわして、引き寄せ、

「久しぶりなのに・・・つれないね。」

と言った。及川の寂しげな顔を見て、影山は心が痛んだ。



中学生時代、影山は及川をふっていたのだった。

原因は影山の浮気。厳密に言うと、及川が卒業した後、

他の先輩達に言い寄られて、断りきれなかったのだ。

そのことがバレた時、及川は影山を淫乱と罵り苛めたので、

喧嘩になり、気まずくなって、だんだんと会わなくなって、

別れたのだった。影山には恋愛感情はなく、手でして欲しいとか

身体を触らせて欲しいとか、いろいろなお願いをされて、

仕方なく相手しただけの事であって、それを浮気だの何だのと

及川にネチネチ責められるのが影山は嫌だったのだ。

そもそも恋をする事もまだ知らない無垢な少年を押し倒して、

無理矢理ものにしたのは及川だった。

中1の時に部室で何度も押し倒され、身体を慣らされ、

気持ち良くさせられて、男を受け入れる事を覚えさせられた影山は

及川を恨んでいた。及川さえ手を出さなければ、他の奴らもきっと

手を出さなかっただろうと影山は考えていた。

中3の夏、試合に負けてからは、無視され、苛められ、まわされて、

恥ずかしい写真を撮られて脅され、中学を卒業するまで金田一と

国見の玩具にされて、影山は地獄の日々を送ったのだった。

自分を裏切った仲間を見返してやろうと思って受験した高校も落ちて、

影山は烏野に入学した。青葉城西の推薦を受けなかったのは

北川第一中学の仲間と縁を切りたかったからだ。

そして、最大の理由は及川に会いたくなかったからだった。

及川の顔を見たら、きっと泣いてしまう。

ずっと我慢して心の中に閉じ込めていたものが溢れてしまう。

影山はそう思って、青葉城西を受けなかったのだった。



皮肉な事に練習試合で及川に会ったら、泣き言よりも先に、及川が

恋しくなった。

「試合が終わったら、学校の裏庭においで」

ネット越しに囁かれた言葉と自分を懐かしむ視線と絶対的な加護の元で

過ごした中学1年の思い出と心も時間もすれ違ってしまった中学2年の

悲しい別れと逆恨みを糧にして過ごした中学3年の過酷な日々とが

走馬灯のように駆け巡り、影山の心をグチャグチャに溶かして、

一番会いたくなかった人のところに会いに来てしまったのだった。

「もしかして、好きな人とかできた?」

及川の質問に影山は首を横に振った。

「じゃ、いいよね?」

及川は影山のジャージに手を入れた。

「や、やめて下さい。誰かに見られたら・・・あっ。」

「大丈夫だって。ここには滅多に誰も来ないよ。」

及川が再び影山にキスをして、舌を絡ませながら握った手を動かした。

舌を吸い上げる度に影山の吐息が口の中に漏れてくる。握ったまま

グリグリと親指で刺激すると蜜が溢れてきた。

「飛雄ちゃん。気持ち良い?先っちょが濡れてきたよ。」

と及川が言うと、影山は頬を赤らめて、及川の肩に顔を埋めた。

左腕をぎゅっと掴んで、耐えている影山を及川は可愛いと思った。

「あ、あっ。で、でる。あっ。」

呻くように小さな声を出し、影山は及川の手の中で果ててしまった。

「早いね。もうイっちゃったんだ。パンツの中、スゴイ事になってるよ。ほら。」

及川は影山のジャージを引っ張って、白く汚れたパンツの中を見せた。

そして、手をゆっくりと引き抜くと、影山に手の平を見せて、

「いっぱい出たね。溜まってた?」

と聞いた。すると、影山は顔を真っ赤にして、コクッと頷いた。



「手が汚れちゃった。舐めてきれいにしてよ。」

と言って、及川はニコッと笑った。

「い、嫌です。」

と影山は拒否したが、

「どうして?自分のだろ?」

と及川は言って、影山の唇に指を押し込み、指についたドロッとした

白い液体を舐めさせた。影山は諦めたように人差し指だけでなく、

中指も薬指も舐め、手の平までもペロペロと舌ですくい取るように舐めた。

「飛雄ちゃんのそういう犬みたいなとこ、俺、好きだよ。

俺が躾けた事はちゃんと忘れてないんだね。」

と及川は言った。自分が汚した手を舐めている影山の従順な表情には

娼婦が男を誘うような艶っぽさがあった。

「ひょっとして、高校入ってからも、こういうことしてた?」

と及川が尋ねると、影山は

「いいえ。やってません。高校入ってからは誰とも寝てません。

日向とか烏野の仲間には知られたくないので・・・」

と言った。

「知られたくないのって飛雄ちゃんが男好きの淫乱ってこと?

それともバレー部員8人にまわされちゃった過去のこと?」

及川は皮肉屋の表情を浮かべて言った。

「何でそれ知ってるんですか?及川さん。」

「金田一と国見に聞いたからね。あいつら高校入って来てすぐ、

飛雄ちゃんの恥ずかしい画像をネタに飛雄ちゃんを誘い出そうとしててさ。

俺が携帯を叩き割って壊して、二度と飛雄ちゃんに近づくなって、

注意しといたんだ。その時に聞き出したんだよ。飛雄ちゃんがまわされて・・・

その後も中学卒業するまで何度も3P4P強要されたんだって?

何で俺に言わなかったの?もっと早く知ってたら、助けてあげたのに・・・」

と及川は言った。すると、影山は泣きそうな顔になって、こう言った。

「・・・言えなくて・・・誰にも・・・苛められてる事・・・話せなくて・・・

あいつら、コートの上では王様で居させてあげるって言うし・・・

本当にその通りだったし・・・部活の練習が終わった後、週に何回か部室で

1時間か2時間くらい我慢すれば、何事もなかったかのように過ごせたから。

・・・俺、誰にも知られたくなくて・・・」



涙を堪えて俯いた影山を及川は桜の木に押し付けて、握り拳でドンッと

桜の木を叩いた。

「みんな知ってるよ。噂になってたらしいよ。俺もちょっと去年、

聞いた事あったんだよ。飛雄ちゃんがビッチになってるって。その時は

とうとう誰にでもやらせる子になっちゃったのかなぁって思ってて・・・

あの時に俺が気付いてあげれば良かった。飛雄ちゃん。これからは

辛い事とかあったら、俺に相談して。俺が守ってあげるからさ。」

ハッとしたように及川を見つめる影山を及川は真剣な目で見つめ返した。

「及川さん。」

「飛雄ちゃん。もう一回、俺と付き合わない?」

「・・・俺なんか・・・ダメです。及川さんとは付き合えません。」

「どうして?飛雄ちゃんは穢れ過ぎて、もう、俺に顔向け出来ないから?」

「俺・・・」

再び泣きそうになった影山を及川は抱きしめて、

「俺は構わないよ。たとえ飛雄ちゃんの身体が10人に穢されていたとしても

俺の好きな気持ちは変わらないよ。」

と言った。すると、

「15人でもですか?」

抱きしめられた状態で影山が言った。

「15人?8人じゃないの?」

「あとから増えまして。全部で15人です。」

通りで噂になるはずだと及川は思った。

影山はバレー部員の大半と寝ていたのだった。

「か、構わないって言ったろ?俺も入れて15人?」

「いえ、及川さんは忘れてました。及川さんを足すと16人です。」

「もう、何人でもいいよ。」

及川は唇で影山の口を塞いだ。



「飛雄ちゃん。その木に両手をついてお尻を突き出してごらん。」

影山は言われた通りに、桜の木にそっと手を伸ばして両手をついて腰を屈めた。

及川が影山のジャージをパンツと一緒に膝のあたりまで一気に下して、

両手で双丘を押し広げると、

「あっ、恥ずかしい。見ないで下さい。」

と影山は言った。

「飛雄ちゃんのここ、きれいな色のままだね。こっちもピンク色だ。」

及川はそう言うと、影山の垂れ下がった袋をパクッと口に含んだ。

「あっ。やぁ。そんな、や、やめて下さい。」

及川は下から上へと舌を這わせて、押し広げた穴に舌を入れた。

「あっ。やっ。き、汚い。洗ってないのに・・・あっ。あぁ。」

「汚くなんかないよ。飛雄ちゃんがどんなに汚れてても俺は

構わないって言ったろ。」

及川は親指を入れながら、クスッと笑って、更に続けた。

「でも、ここは洗ってなくても汚くないよ。変な味もしないしね。

飛雄ちゃん、ホントはトイレで洗ってきたんじゃないの?俺と

するつもりで来たんだろ?」

「そ、そんな事ないです。」

「嘘ついちゃダメだよ。嘘つく子はお仕置きだよ。」

と及川は言って、尻を押し広げている左右の親指を指の付け根まで入れた。

「あっ。い、痛い。ああっ。」

「気持ちイイくせに。」

及川は親指と親指の隙間に舌を入れて、内壁を舐めた。

「あ、ああっ。イ、イク。あっ。ああっ。」

影山の放った体液が桜の木を白く汚した。

「飛雄ちゃん、今度はお尻だけでイっちゃったんだ。淫乱過ぎるよ。

俺が入れるまで我慢できないなんて、躾け直さなきゃいけないかな。」

及川は影山の尻をバシッと叩いた。そして、

「入れるね。」

と言って、雄々しく天を仰いでいるものを挿入した。



「あ、ああ。あっ。」

及川は腰を動かしながら、前に手をまわして、喘ぐ影山の身体を弄った。

「あん。あっ。ああ。」

貫かれながら愛撫されて、影山は部室で金田一たちに弄ばれていた時の事を

一瞬ぼんやりと思い出し、興奮した。影山は腰をくねらせて、及川を自分の

最も感じやすい所に導き、及川の動くリズムに合わせて腰を振った。

「あっ。ああ。ああ~」

喜びに満ちた影山の身体が絶頂を迎えようとした時、及川が影山の中で果てた。

及川は崩れ落ちるように影山を背後から抱きしめて、影山の中に留まったまま

耳元で囁いた。

「好きだよ。飛雄ちゃん。愛してる。」

及川が愛を語るのは初めてではなかった。影山の身体を愛す人も沢山いた。

しかし、影山の心を愛してくれる人は及川一人だけだった。影山は及川の

愛に包まれて幸せだった頃を思い出して、

「俺も・・・です。」

と言った。及川が耳朶を甘噛みしながら、

「本当に?愛してるって飛雄ちゃん、もう1回言って。さっき、

よく聞こえなかったから。」

と言うと、影山はこう言った。

「言ってません。俺もって言っただけです。それより、早く抜いて下さい。

いつまでいるつもりですか?」

「また、そんなこと言う。飛雄ちゃんまだイってないじゃん。だからさ。

抜かないで2回するんだよ。今度はもっと激しくしてあげるね。

飛雄ちゃんの好きな所いっぱい攻めてあげる。」

と及川は言うと、再び腰を動かし始めた。



「あっ。もう、入れる前に2回イッたから、別に良いのに・・・あっ。」

影山の身体は言葉とは裏腹に熱く蕩けていた。及川はゆっくりと深く

突きながら、

「飛雄ちゃんって1日に4回イク事あったんだって?金田一から聞いたよ。

俺も4回イかせてあげるから。我慢しないで連続でイッていいよ。」

と言った。

「及川さん・・・それって・・・あっ・・・やっぱり・・・あっ・・・

気にしてるんじゃないですか・・・あっ・・・及川さんって・・・あっ

・・・嫉妬深いから・・・俺は・・・嫌いなんですよ・・・あっ・・・」

及川は影山に心の中を見透かされている事に気付いて、返す言葉がなかった。

代わりに腰を激しく突き動かし、影山の口を快感で封じた。

「あっ。あ、ああ。ああ~」

影山は嬌声を上げながら快楽を貪るように締めつけ、及川に余裕を失くさせた。

身体を震わせて、影山が絶頂を迎えると、同時に及川も影山の中に欲望を

吐き出した。終わった後、及川は身体を離し、ポケットティッシュを取り出し、

影山の尻から及川の放った白い体液を掻き出して拭いた。後始末が終わると、

影山は照れたように言った。

「及川さんと付き合ってあげても良いですよ。身体の相性も良いし・・・

及川さんが彼氏に戻りたいって言うなら、彼氏にしてあげます。

その代り、過去をネチネチ言うのはもうやめてもらえませんか?

4人や8人相手に4回イクって、時間長いから当たり前じゃないですか。

1人相手に何回もイクって及川さんだけなんですよね。」

悪態をついているのか告白しているのか慰めているのかよく分からない影山に

「あ、ありがとう。」

と及川は言った。及川は昔からドMでプライドの高い傲慢な影山を可愛いと思い、

一途に想い続け、影山の言動に一喜一憂する自分が不安で憂鬱だった。そして、

今日からそれがまたずっと続くのかと思うと、憂鬱であり、嬉しくもあった。

及川は影山の頭をポンポンと撫でて、笑い、

「今から俺の家に行こう。4回目イかせてあげる。」

と言った。

「だから、過去と張り合うのはやめたほうが・・・」

説教を始めようとした影山の唇にキスをして、恋人を黙らせた及川は手を握って

歩き出した。影山は気恥ずかしそうにしていたが、繋いだ手を振り払わなかった。


                          (完)









ハイキュー「大王様の憂鬱」挿絵


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